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『トゥモロー・ワールド』
- ジャンル : 映画
- スレッドテーマ : 特撮・SF・ファンタジー映画

『トゥモロー・ワールド
《ストーリー》地球上に子供が生まれなくなって18年が過ぎた2027年。未来への希望を失った人類は暴力と無秩序、そして国家による圧制という悪循環に入り込んでいた。
エネルギー省に勤務する主人公セオ・ファロン(クライヴ・オーウェン)は、ある日、前妻ジュリアン(ジュリアン・ムーア)が率いる反政府組織「FISH」に拘束される。
「FISH」は1人の不法移民黒人女性キー(クレア=ホープ・アシティ)を保護していた。なんと、キーは妊娠していた。この18年で初めての「子供」だ。政府に利用されることを危惧した「FISH」は妊娠したキーを国外に脱出させることを企んでいた。
セオ・ファロンは、かつての妻ジュリアンから協力を要請される。まったく気の進まなかったセオだが、とある悲劇的アクシデントにより心変わりし、キーの国外脱出を助けることになる。セオ、キーたちの孤独で危険な逃避行が開始される・・・。
《感想》英国の女性ミステリ作家P・D・ジェイムズの長編小説『人類の子供たち
子供が生まれなくなった世界で、絶望した人々は犯罪やテロに走り、それを抑えることを口実に国家は直接暴力による支配を強めていく。こんな状況が陰々滅々と描かれていきます。暴力による死が、これでもかとばかりに描かれますが・・・。
異様な迫力があり、思わず物語に引き込まれていきました。
特にラスト近く、不法移民の「ゲットー」で展開される銃撃戦は強烈な印象が残りました。武器を持った不法移民たちのデモが武装蜂起へとエスカレートする。それを鎮圧する英国軍。セオとキーを追跡してきた「FISH」のメンバーも加わり、凄惨な殺し合いが展開されます。
銃を持った男たちが英雄気取りで、非武装の者たちを射殺する。ただ、ひたすら逃げ回り隠れる不法移民たちは、なすすべもなく戦闘に巻き込まれ死んでゆく。動くものには無差別に銃口を向ける英国軍。両手を上げて投降する一般人も容赦なく射殺される。そこかしこで響き渡る自動小銃の乾いた銃声・・・。
なんとも悲惨な戦闘場面が繰り広げられます。多くの戦争映画・アクション映画にあるような「英雄的」な振る舞いなど、どこにもありません。そして、おそらくはこの『トゥモロー・ワールド
けっして「楽しい」映画とは言えませんが、なんとも心に残る映画ではありました。
(『トゥモロー・ワールド
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- 2007-11-15
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ダレン・シャン作「デモナータ(The Demonata)」シリーズ第5巻です(橋本恵訳)。
主人公は1・3巻に続いてグルービッチ・グレイディ(グレブス)少年です。第3巻『スローター』で描かれた大虐殺の約1年後、グレブスと従兄弟(?)のビルE・スプリーン(ビリー・スプリーン)は平穏な学校生活を送っています。
両親と姉が殺害され、その後精神病院に長く入院し、さらには映画村での大虐殺にも遭遇するという悲惨な過去をもつグレブス。そんな彼にもどうにか仲間・友達ができつつあります。
なかでも「親友」といえるのはロック・ゴッセル。アマチュア・レスリングの強豪選手でもあるロックは典型的な「体育会系」。粗忽なところもありますが、グレブスとは気が合います。ロックがビルEを毎日のようにからかう点が困りものでしたが・・・。
そして親友ロックの妹レニーにグレブスは惹かれ始めます。マッチョなロックの妹らしくレニーも体格がよく、一般的な「美人」というタイプではありませんが、グレブスはレニに対する心のときめきを強く自覚するようになります。
そんなある日、同居するダービッシュ・グレイディ叔父が素敵な提案をします。ダービッシュ叔父が留守にする週末、家(大豪邸)に友達を呼んでパーティーをすることをグレブスに許可します。
ロック、レニー、ビルEらを呼んで大パーティーを開催するグレブス。本来なら思春期真っ盛りというところですが、彼には深刻な問題がありました。亡き姉グレットのように人狼に変身してしまうのではないかという、人に言えない悩みがあったのです。
理性をまったく欠いた人狼になってしまうのではないか? そんな自分はダービッシュ叔父にも見放され殺されようとしているのではないか? 悩みは深刻化するばかりですが、それとともにグレブスは生まれつきもっていた(らしい)魔力を強めてもいきます・・・。
ロック、ビルEとともに熱中する宝捜し。地下洞窟の探検。不幸な事故。さらに深刻化する狼男変身の恐怖。『スローター』の女性精神科医ジューニー・スワンの再登場。ダービッシュとジューニーの恋愛、と話はぐんぐんエンディングに向けて進みます。ダレン・シャン作品ではお馴染みの「親しい者の死」や「裏切り劇」もあり、今回も飛び切り面白い!。デモナータ・ワールドを堪能しました。
なお、第5巻『デモナータ 5 血の呪い』は第6巻「Demon Apocalypse」と元は長い1冊の長編であったようです。それを2冊に分割したためなのか、第5巻の最後は典型的な「次回に続く」式のサスペンデッド・エンドになっています。絶望的とも見える窮地に追い込まれたグルービッチ・グレイディは、いかにして生還を果たすのか? 第6巻(翻訳版)を楽しみに待つことにします。
(『デモナータ 5 血の呪い
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- 2007-11-01
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ダレン・シャン作「デモナータ(The Demonata)」シリーズ第4巻です(橋本恵訳)。
シリーズ中の異色作です。舞台は5世紀のアイルランド。主人公は「プリーステス(女性魔法使い)」修行中の少女ベック。幼いときに母親を亡くし、老プリーステスバンバの弟子として成長してきました。
ベックの暮らしているアイルランドには大変な問題がありました。悪魔たちによる侵略です。人々は集落のまわりに城壁を築き、悪魔たちの襲撃を防いでいました。が、悪魔の力は人間より遥かに強いため、多くの部族・集落が全滅するという悲劇が続いています。
ある日、非常に俊足だけれど普通に話をすることができない謎の少年ブランが、ベックたちマッコン族が暮らす砦にたどりつきます。少年はどうやら自分の部族が危機に陥っていること、応援を要請したいことを伝えたいようでした。
少年の要請に応えて、マッコン族の片目の老戦士ゴール、族長の息子コンラー、若き猛戦士ローナンとローカン(双子)、おだやかな性質の鍛冶屋フィークナー、他部族の女戦士オルナー・マッカダンとベックは、命がけの旅に出ることになります。
凄まじい悪魔たちの猛襲に耐え、ベックたちの一行は、足が速い少年の部族に辿りつきます。そこで彼ら彼女らはアイルランドのおかれた過酷な状況の「真相」を知ることになります。そのために新たな試練に挑戦することにもなります。それはほとんど無謀とも言える悪夢の旅の始まりでした・・・。
作者ダレン・シャン初めての歴史(伝奇)小説? 恐る恐る読み始めましたが、これが滅法面白い! ゴール、コンラー、ローナン&ローカン、フィークナー、オルナー、ベックの「旅の仲間」がひとりひとり斃《たお》れてゆくストーリー進行には手に汗を握りました。
ダレン・シャン作品の恒例、いつものように「ミステリー仕立て」も楽しめます。なぜ悪魔たちがアイルランドを侵略し始めたのか? 悪魔と通じる裏切り者は誰か? 危険過ぎる旅の最後まで生き残るのか誰か?
ただし、すべての謎が明らかにされるわけではありません。デモナータ・シリーズ中の異色作である『ベック』が他の巻とどのようにつながっていくのか?という点の種明かしはされません。これこそがシリーズ最大のミステリーなのかもしれません・・・。
(『デモナータ 4 ベック
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- 2007-10-23
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『デモナータ 1 ロード・ロスダレン・シャン作「デモナータ(The Demonata)」シリーズ第1巻です(橋本恵訳)。
主人公はグルービッチ・グレイディ(グレブス)少年。中学生くらいでしょうか(?)。年齢のわりには大柄。赤毛。友人たちに対する見栄でタバコを吸って、それが見つかり、大目玉を食らうような普通の男の子です。ただし、(告げ口をした)姉グレテルダへの復讐に「
くさりはじめたネズミの死骸」を使うような、ちょっと常軌を逸した部分もあります。
大のチェス好きの両親と姉、それにグルービッチ(グレブス)の4人家族は平穏に幸せに過ごしていました。しかし、両親と姉の3人が自分には黙って何かを実行しようとしていることにグレブスは気づきます。両親の勧めに従って「ケイトおばさん」の家に一人泊まる振りをした彼はひそかに自宅に戻ります。
家のドアを開けたグレブスを待っていたのは「地獄」でした。「魔将」のロード・ロスと部下の悪魔アーテリーとベインが、両親と姉を虐殺していたのです。悪魔たちはグレブスも殺そうとしますが、彼は自分でも知らなかった不思議な力(魔力)を発揮して窮地を脱します。
しかし、両親と姉を惨殺されたグレブスは精神のバランスを決定的に崩してしまいます。精神病院に入院しての長い闘病。グレブスは過酷な現実に背を向け、どうやら生存を続けますが、病気は一向に良くなりません。が、ある日、叔父(父親の弟)であるダービッシュ・グレイディの見舞いを受けたことから、回復への道が開けます。
精神病院から退院したグレブスはダービッシュ叔父の屋敷(大豪邸)に住むことになります。そしてダービッシュを「実の父親」と信じるビルE・スプリーン(ビリー・スプリーン)少年やセクシーな美女ミーラ・フレームとも親交を深めてゆくのですが、家族を殺した悪魔たちのことは忘れられません。そして、新たな「謎」がグレブスの生活に暗い影をもたらします・・・。
若き天才ホラー作家ダレン・シャンのシリーズ作品は巻が進むにつれて面白さも増す傾向があります。と言っても第1巻が詰まらないというわけではありません。シリーズの最初から相当なレベルの面白さなのですが、その面白さが更にアップしてゆくのです。「デモナータ」シリーズにも同じことが言えます。
作者ダレン・シャンによると「デモナータ」シリーズは8〜9巻となるようです。主人公は3人。1・3・5巻の主人公のグルービッチ・グレイディ。第2巻のコーネリアス・フレック。第4巻のべック。それぞれ違う時代に暮らす、まったくつながりがないように見える少年少女の物語がどう統一されていゆくのか? はたして話はちゃんとまとまるのか? 物語の展開が楽しみです。
(『デモナータ 1 ロード・ロス』ダレン・シャン、小学館、2006)
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- 2007-06-23
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『テキサス・チェーンソー・ビギニング
《ストーリー》ベトナム戦争が泥沼化し始めた1969年、米国テキサス州の片田舎。戦場行きを目前としていた兄弟エリック(兄)とディーン(弟)、彼らの恋人クリッシーとベイリーらの若者たちが、狂気の人喰い一家により次々と惨殺されるというシンプルなお話です。
《感想》「これでもか!」という残虐描写、スプラッタ(血塗れ)描写に辟易《へきえき》とさせられます。ホラー映画マニアの私(喜八)ですらそう感じるのですから、一般的な嗜好の持ち主は鑑賞を見合わせたほうがよいかもしれません。
チェーンソー(動力ノコギリ)を持った殺人鬼「レザーフェイス」が大虐殺を繰り広げるホラー映画シリーズは、1974年トビー・フーパー監督『悪魔のいけにえ
今回6作目を観て、露骨な「差別」が随所に見られることに気づきました。精肉工場で働く人たちへの差別、肉体的・知的な障害を持つ人への差別、人と変わった容貌を持つ人への差別、地方在住者への差別、いわゆる「プアホワイト」への差別などなど、様々な「差別」が統合されて殺人鬼「レザーフェイス」となっていると言っても過言ではありません。
アメリカ合州国は差別表現には厳しい国だと思っていたのですが・・・。こういう映画が堂々と(?)製作されるところを見ると、「差別」に関する基準が日本とは大きく異なっているのかな? とも思わされます。
「レザーフェイス」と並ぶ悪役である「ホイト保安官」はかつて朝鮮戦争に従軍し捕虜となった経験があることが明かされます。そしてアメリカ人捕虜のあいだに人肉食が行なわれたことを彼は述懐します。つまり「レザーフェイス」や「ホイト保安官」らヒューイット家の者たちが「人喰い」となったのは朝鮮戦争が原因であるという話なのです。でもこれって捕虜経験者を貶《おとし》めることにはならないですかね?
以上いろいろ書きましたが、物語には異様な迫力があります。映像作品として割とよくできていると言えるでしょう。そのため鑑賞し始めると、思わず引き込まれます。が、後味はやっぱり悪いですね。なんとも「げっそり」という気持ちになってしまいました・・・。
(『テキサス・チェーンソー・ビギニング
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- 2007-06-12
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『デモナータ 2 悪魔の盗人ダレン・シャン作「デモナータ(The Demonata)」シリーズ第2作です(橋本恵訳)。
主人公は第1作とは変わって、コーネリアス・フレック少年(通称カーネル)。「宙を動く、色とりどりの奇妙な光」が見えるため、同級生など周囲の人たちからは「いかれている」「変人」と見なされています。そのため、カーネルには友達がいません。いつも独りぼっちです。また、彼には生まれつき髪の毛がありません。
あるとき、カーネルは不思議な光の中から怪物(悪魔)が出現するのを目撃してしまいます。そして、気を失います。カーネルがふたたび意識を取り戻すと大騒ぎになっていました。彼は数日間行方不明状態になっていたのです。行方不明になっていた間の記憶をカーネルは失っていました。
その後、カーネルにもよく分からない事情でフレック一家は「夜逃げ」同然の有様で急に引っ越しをすることになります。父親のカスピアン(絵描き)、母親のメレーナ(大学講師)、まだ赤ん坊の弟アート、カーネルの4人はこれまで住んでいた都会を脱出し、パスキンスンという小さな村に落ち着きます。ここは工芸家・芸術家の村でした。
以前、通っていた都会の学校と違って、パスキンスンの村の子供たちはカーネルをことさらに差別するようなことはありませんでした(光が見えることを口外しなかったからでもありますが)。カーネルは村の生活に馴染んでいきます。何をするにも幼い弟のアートがいつも一緒です。カーネルは弟を心から愛していました。
ところが、平穏な生活に陰が差し始めます。「魔女」というあだ名のミス・イギン、村の誰とも付き合わず孤立した生活を送っている女性が、カーネルとアートを脅すような言動を取り始めたのです。そして、もしカーネルが誰かほかの者にいいつけたら、喉を耳から耳まで切り裂いてやると脅迫します。
ある日、破局がやってきました。村の子供たちが屋外授業をしているとき、ミス・イギンがやってきて、大きな声で怒鳴り始めます。そして、なんと身体が破裂して死んでしまいます。
ミス・イギンが死んだ場所には縦2メートル横1メートルの地上50〜60センチに浮かぶ「大きい灰色の光のパネル」が出現します。これは悪魔の世界と人間の世界をつなぐ「まど」でした。カーネルは嫌な予感がして皆に逃げるように告げましたが、すでに手遅れでした。「まど」からは悪魔カダパーが出現し、先生や生徒たちを手当たり次第に殺し始めます。
カーネルは幼い弟を連れて逃げようとしましたが、悪魔に弟を攫われてしまいます。一瞬、迷った彼ですが、悪魔を追って「まど」に飛び込みます。「まど」の向こうは悪魔の世界「デモナータ」でした。これよりカーネルの悪夢のような追跡行が始まります・・・。
と、今回は思わずストーリー紹介が長くなってしまいました(笑)。
物語は、コーネリアス・フレック少年(カーネル)が弟のアートを救出するというシンプルな構成です。が、なかなか凝ったミステリが仕組まれています。「ああ、なるほど! そうだったんだ!」という「種明かし」が複数回ありました。私(喜八)はこういうのは好きですね。
カーネルとともに戦う「魔術同盟」のメンバーの中に、ダービッシュ・グレイディがいます。第1作と第3作にもグレブス少年の叔父として登場するダービッシュです。ただ、この第2作『デモナータ 2 悪魔の盗人
なんと言っても、続きを読むのが待ち遠しいシリーズです。つい最近、原語(英語)版の第5巻『Blood Beast』が出版されました。1・3巻とおなじくグルービッチ・グレイディ(グレブス)とダービッシュ叔父が主人公です。日本語翻訳版が早くでないかものかと楽しみにしています。
(『デモナータ 2 悪魔の盗人』ダレン・シャン、小学館、2006)
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- 2007-06-05
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