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『トゥモロー・ワールド』

『トゥモロー・ワールド』

トゥモロー・ワールド(原題:Children of Men)』アルフォンソ・キュアロン監督(2006)。

ストーリー》地球上に子供が生まれなくなって18年が過ぎた2027年。未来への希望を失った人類は暴力と無秩序、そして国家による圧制という悪循環に入り込んでいた。

エネルギー省に勤務する主人公セオ・ファロンクライヴ・オーウェン)は、ある日、前妻ジュリアンジュリアン・ムーア)が率いる反政府組織「FISH」に拘束される。

「FISH」は1人の不法移民黒人女性キー(クレア=ホープ・アシティ)を保護していた。なんと、キーは妊娠していた。この18年で初めての「子供」だ。政府に利用されることを危惧した「FISH」は妊娠したキーを国外に脱出させることを企んでいた。

セオ・ファロンは、かつての妻ジュリアンから協力を要請される。まったく気の進まなかったセオだが、とある悲劇的アクシデントにより心変わりし、キーの国外脱出を助けることになる。セオ、キーたちの孤独で危険な逃避行が開始される・・・。

感想》英国の女性ミステリ作家P・D・ジェイムズの長編小説『人類の子供たち』の映画化(ただし、小説と映画ではかなりの違いがあるらしい)。監督のアルフォンソ・キュアロンは『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』を撮った人です。陰鬱だけれど、重厚な映像を創り上げることができる「匠《たくみ》」です。

子供が生まれなくなった世界で、絶望した人々は犯罪やテロに走り、それを抑えることを口実に国家は直接暴力による支配を強めていく。こんな状況が陰々滅々と描かれていきます。暴力による死が、これでもかとばかりに描かれますが・・・。

異様な迫力があり、思わず物語に引き込まれていきました。

特にラスト近く、不法移民の「ゲットー」で展開される銃撃戦は強烈な印象が残りました。武器を持った不法移民たちのデモが武装蜂起へとエスカレートする。それを鎮圧する英国軍。セオとキーを追跡してきた「FISH」のメンバーも加わり、凄惨な殺し合いが展開されます。

銃を持った男たちが英雄気取りで、非武装の者たちを射殺する。ただ、ひたすら逃げ回り隠れる不法移民たちは、なすすべもなく戦闘に巻き込まれ死んでゆく。動くものには無差別に銃口を向ける英国軍。両手を上げて投降する一般人も容赦なく射殺される。そこかしこで響き渡る自動小銃の乾いた銃声・・・。

なんとも悲惨な戦闘場面が繰り広げられます。多くの戦争映画・アクション映画にあるような「英雄的」な振る舞いなど、どこにもありません。そして、おそらくはこの『トゥモロー・ワールド』で描かれた「戦闘」こそが、現実のそれに近いのでしょう。

けっして「楽しい」映画とは言えませんが、なんとも心に残る映画ではありました。


(『トゥモロー・ワールド』アルフォンソ・キュアロン監督、2006)

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