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『テキサス・チェーンソー・ビギニング』

『テキサス・チェーンソー ビギニング』

テキサス・チェーンソー・ビギニング(原題:The Texas Chainsaw Massacre: The Beginning)』ジョナサン・リーベスマン監督(2006)について。

ストーリーベトナム戦争が泥沼化し始めた1969年、米国テキサス州の片田舎。戦場行きを目前としていた兄弟エリック(兄)とディーン(弟)、彼らの恋人クリッシーベイリーらの若者たちが、狂気の人喰い一家により次々と惨殺されるというシンプルなお話です。

感想》「これでもか!」という残虐描写、スプラッタ(血塗れ)描写に辟易《へきえき》とさせられます。ホラー映画マニアの私(喜八)ですらそう感じるのですから、一般的な嗜好の持ち主は鑑賞を見合わせたほうがよいかもしれません。

チェーンソー(動力ノコギリ)を持った殺人鬼「レザーフェイス」が大虐殺を繰り広げるホラー映画シリーズは、1974年トビー・フーパー監督『悪魔のいけにえ』を嚆矢《こうし》とします。その後、続編・リメイクを合わせて全6本のシリーズが形成されています。私が観たのはそのうちの1・5・6作ですが、ストーリーはほぼ同じでした。

今回6作目を観て、露骨な「差別」が随所に見られることに気づきました。精肉工場で働く人たちへの差別、肉体的・知的な障害を持つ人への差別、人と変わった容貌を持つ人への差別、地方在住者への差別、いわゆる「プアホワイト」への差別などなど、様々な「差別」が統合されて殺人鬼「レザーフェイス」となっていると言っても過言ではありません。

アメリカ合州国は差別表現には厳しい国だと思っていたのですが・・・。こういう映画が堂々と(?)製作されるところを見ると、「差別」に関する基準が日本とは大きく異なっているのかな? とも思わされます。

「レザーフェイス」と並ぶ悪役である「ホイト保安官」はかつて朝鮮戦争に従軍し捕虜となった経験があることが明かされます。そしてアメリカ人捕虜のあいだに人肉食が行なわれたことを彼は述懐します。つまり「レザーフェイス」や「ホイト保安官」らヒューイット家の者たちが「人喰い」となったのは朝鮮戦争が原因であるという話なのです。でもこれって捕虜経験者を貶《おとし》めることにはならないですかね?

以上いろいろ書きましたが、物語には異様な迫力があります。映像作品として割とよくできていると言えるでしょう。そのため鑑賞し始めると、思わず引き込まれます。が、後味はやっぱり悪いですね。なんとも「げっそり」という気持ちになってしまいました・・・。


(『テキサス・チェーンソー・ビギニング』ジョナサン・リーベスマン監督、2006)


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