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『かもめ食堂』

『かもめ食堂』

映画『かもめ食堂荻上直子監督(2006)について。

ストーリーフィンランドの首都ヘルシンキで食堂を経営するサチエ小林聡美)。目を瞑って世界地図を指差し、たまたま指の先が行ったフィンランドに来たミドリ片桐はいり)。身体が弱かった両親の介護を終えて旅行にでたマサコもたいまさこ)の3人が織り成す物語。フィンランドの人たち ─日本贔屓の青年、夫に去られ傷心の中年女性、コーヒー好きの謎の中年男、口さがないオババたち─ との交流など、淡々と「かもめ食堂」の日常が描かれます。

感想》なんと言っても小林聡美さんのたたずまいが美しい! そして、片桐はいりさんともたいまさこさんが実にチャーミングです。鑑賞中「素晴らしい監督の腕前だ」と感心することしきりでした。映画を観終った後にネットで調べて、まだ若い女性監督の作品であることを知り驚きました。

小林聡美さんのことは『転校生大林宣彦監督(1982)のころから知っていました。小林聡美さんは十代のころから大変に「上手い」女優さんでした。が、私(喜八)は正直にいって小林さんが嫌いでした。上手すぎて嫌味に感じてしまうのが理由だったと思います。

ところが、2003年に日本テレビ系で放映されたドラマ「すいか」をたまたま観て、小林聡美さんが上手いだけでなく、非常な存在感のある演技者であることを再発見したのです。そして、にわかに小林聡美ファンとなってしまいました。

映画『かもめ食堂』の小林聡美さんは登場する総ての場面で「絵になっています」。ふきんでテーブルを拭く、包丁でトンカツを切る、コーヒーを淹れる、プールで平泳ぎ、合気道の「膝行」をする。それらの総てにおいて美しい。これは大変なことだとつくづく思います。

片桐はいりさんも素晴らしい。日本贔屓のフィンランド青年、トンミ・ヒルトネンから「僕の名前を漢字で書いてください」と頼まれ「豚身昼斗念」と書く。ヨガのポーズ「咲いたばかりの蓮《はす》の花」でのけぞる。サチエから「父とおにぎり」の話を聞いてホロッとする。この人も存在感があって実に上手い女優さんだと思う。

もたいまさこさん。快演にして怪演です。映画に重みと(あえていえば)ホラー味を添加しています。鑑賞後に「もしかしたら、もたいまさこさん演ずるところの《マサコ》は、この世の存在ではないのかもしれない」と思い至りました。なんとも不思議な味わいをかもし出しています。ちなみにもたいまさこさんは荻上直子監督作品の常連メンバーだそうです。

調理・食事・掃除・挨拶・買い物など日常の何でもないような動作に秘められた「美」を的確に切り取って見せた映画。観終った後にとても豊かな気持ちになれる作品でした。そして「もし、明日地球が消滅することになったら、自分は誰といっしょにご飯を食べたいのだろう?」ということを考え込んでしまいました・・・。

『かもめ食堂』


(『かもめ食堂』荻上直子監督、2006)


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