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『ランド・オブ・ザ・デッド』

『ランド・オブ・ザ・デッド』

映画『ランド・オブ・ザ・デッド(原題:Land of the Dead)』ジョージ・A・ロメロ監督(2005)について。

ストーリー》近未来。世界の大部分はゾンビ(リビングデッド)に支配されている。アメリカ合州国とカナダとの国境付近に位置する「要塞都市」では、生き残った少数の人々が高圧電線と河川に守られて、ようやく生存を続けていた。

要塞都市のボスとして君臨するのはカウフマンデニス・ホッパー)。彼はかつての合州国大統領とマフィアのボスを合わせたような絶対的権力者だ。カウフマンの専制支配の下では、貧富の差が極端に広がり、上流階級の住む摩天楼(Fiddler's Green)と貧民階級の住むスラムがフェンスと銃によりはっきりと分離されている。

腕利きの傭兵チョロジョン・レグイザモ)はボスのカウフマンに取り入り、スラムからの脱出を図る。が、「お前とは身分が違う」とばかりにあっさり拒絶される。怒りに燃えたチョロは装甲トラック「デッド号(Dead Reckoning)」を乗っ取り、昨日までのボスを脅迫し始める。カウフマンは傭兵のリーダーであったライリーサイモン・ベイカー)にデッド号の奪回を命ずる。

いっぽうゾンビの中には知力の向上を果たした個体が現れ始めていた。人間であったころガソリン・スタンドを経営していたビッグ・ダディユージン・クラーク)もその1人だ。物資調達の傭兵たちに仲間のゾンビたちを破壊されたビッグ・ダディは激しい怒りを覚える。そして仲間を率いて人間の要塞都市への進軍を開始する。カウフマンと傭兵たち、ゾンビと人間の決戦の時が近づいていた・・・。

感想》ゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロ監督「リビングデッド・シリーズ」の第4作です。前作『死霊のえじき(原題:Day of the Dead)』(1985)から19年の時を経て製作されました。今回鑑賞したのはディレクターズ・カット版DVDで、劇場公開時にはなかったシーンがいくつか追加されています。

鑑賞後の印象は「ロメロ組の同窓会」でした。ゾンビ映画の金字塔『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド(原題:Night of the Living Dead)』(1968)、『ゾンビ(原題:Dawn of the Dead)』(1978)のロメロ監督と仲間たちが再結集し、楽しみながら新作を撮った。よきにつけ悪きにつけ「肩の力が抜けた」一本となっています。マニアのあいだでは賛否両論あるようですが、私(喜八)は充分に楽しんで観ることができました。

多彩な登場人物の中では、主人公ライリーの「片腕」役をつとめるチャーリーロバート・ジョイ)が印象に残りました。おそらく知的障害をもつチャーリーは、火災の中からライリーに助け出された恩義もあって、絶対的な忠誠心・友情をライリーに対して抱いています。そんなチャーリーは狙撃の名手でもあります。彼が銃撃の前にM1小銃の照星に唾をつけるのはゲーリー・クーパーが実在の第一次大戦兵士を演じた『ヨーク軍曹(原題:Sergeant York)』 (1941)からの引用です。

デニス・ホッパー演じるカウフマンは第43代アメリカ合州国大統領ジョージ・W・ブッシュ氏に酷似しています。立ち振る舞いも口調も。特にチョロからの脅迫電話を受けた後「テロリストとは交渉しない(We do not negotiate with terrorists!)」と言い放つところなどはブッシュ氏が憑依したかのようです。ロメロ監督自身も『ランド・オブ・ザ・デッド』に政治性があることを認めています。

トム・サヴィーニがマチェット(山刀)をもつゾンビを演じています。サヴィーニは1978年版『ゾンビ』で特殊効果を担当し、さらに俳優としてマチェットをもつモーターバイク・ギャングを演じていました。『ゾンビ』でゾンビと化した男が時を経て『ランド・オブ・ザ・デッド』に登場したという趣向でしょう。ファンにとっては泣かせるカメオ出演です。

その他いくつか雑学的知識を挙げておきます。

ロメロ監督によると『ランド・オブ・ザ・デッド』には続編の予定もあるようです。もしかしたらタイトルは『モーニング・オブ・ザ・デッド』あるいは『イヴニング・オブ・ザ・デッド』? まあ、期待しすぎないように期待して(?)、「リビングデッド・シリーズ」の第5作をのんびり待つこととします。


(『ランド・オブ・ザ・デッド』ジョージ・A・ロメロ監督、2005)

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第一次世界大戦で活躍した実在の勇士ヨーク軍曹の伝記映画。田舎町に生まれ育ったヨークは酒飲みのならず者だったが、ある日信仰に目覚め、出征した戦場で武勲をたてるのであった。ヨーク軍曹を演じたゲイリー・クーパーが第14回アカデミー賞主演男優賞を受賞。
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